AI時代にこそ問いたい──「君たちはどう生きるか」という問い

最近、仕事を通じて何人かの若い子たちと出会った

彼らはみな、とてもまじめで、仕事熱心
ただ、同じ仕事を繰り返す日々、本当にこの仕事にや利害を感じているのか気になったので

将来どうしたいの?

と聞いてみた
すると返ってきたのは、

「よくわからないですね」
「とりあえず今の仕事をしてる感じです」
「この仕事をずっと続けるかどうかも…うーん」

それを聞いて、感じたのは

おそらく彼らは、「将来をどう生きるか」を考えるための経験も、きっかけも、どうやって考えるかの方法も、学んでこなかったのだろうと…

まじめに働く でも、その先が見えていない

自分に向いていることって何だろう?
やりたいことってあるのかな?
そもそも、自分って何ができる人間なんだろう?

──そんな問いを、誰かとじっくり語り合ったことがあるだろうか
「考え方」を教わる機会が、あっただろうか
話し相手になってくれる大人がいなかったのだろうか

たぶん、なかったんだな…

「普段、本読む?」と聞いてみたら…

まあ、予想どおり…

「ほとんど読まないですね」

そうだよね…
そこで考えたのが映画にもなっている『君たちはどう生きるか』をお勧めしてみようと

まだ映画は見たことがなかったので、早速DVDを購入して視聴!

あれ?原作と全然違うのか…
しかも中々の難しい描写

こりゃ小説の方が良いなと思い

映画にもなってる『君たちはどう生きるか』知ってる?
この小説から読んでみるといいよ

「そんなに進めるなら読んでみようかな!」

AIの時代にこそ、必要な問い

今は生成AIの時代
情報は一瞬で手に入り、文章も画像もAIが作る
「どう効率化するか」が正解のように見える時代

でも──AIでは代替できないことがあると確信している!

それは…

「自分は、どう生きたいのか?」という自分への問い
そして、そこから生まれる目的意識と情熱

目的があれば、AIをどう使えばよいかという思考が自然に生まれ
情熱があれば、ツールとしてAIを最大限に活用する意志が生まれ

AI時代だからこそ、「どう生きるか?」という問いを持つことが、人間にとって最重要の力になるのではなかろうか!

「君たちはどう生きるか」は答えではなく「問い」の本

この本は、答えを教えてくれるわけではありません
でも、考えるきっかけとしての問いをたくさん与えてくれます

私はこの本を再読し、それぞれの短編が何を問いかけているのか、そしてそれを多角的
(私の好きな脳科学、心理学、行動経済学、社会学の視点)で整理してみた

何が問いなのか?何を考えてほしいのか?脳科学的解釈心理学的解釈行動経済学的解釈社会学的解釈
1. へんな経験自分の考えや行動はどう生まれるのか?自我と他者、内省の大切さ前頭前野の内省と意識の統合自己概念の形成とメタ認知自己参照バイアス個人と社会の接点としての自己意識
2. 勇ましき友仲間を見捨てないとは?勇気とは何か、自分はどう振る舞うか扁桃体の恐怖と行動抑制認知的不協和と良心の葛藤傍観者効果仲間・集団内の役割と規範
3. ニュートンのリンゴと粉ミルク知るとは何か?学ぶことに意味はあるか?科学的思考の面白さ、知への興味報酬系(ドーパミン)による好奇心内発的動機づけ学習バイアスと成功体験教育資源と知識の社会的共有
4. 貧しき友貧困を自分ごととして考えられるか?社会的不平等と共感ミラーニューロンの活性発達段階における道徳性損失回避と感情移入社会階層・再生産理論
5. ナポレオンと4人の少年本当の強さとは?リーダーシップとは?人を率いるとはどういうことか意思決定と前頭前野自尊感情と役割意識権威バイアス権力とカリスマの社会的構造
6. 雪の日の出来事危険な状況でどう判断するか?危機の中での判断と責任危機時の扁桃体・ストレス反応フロー状態と集中力状況判断とリスク回避危機管理と責任の社会的分担
7. 石段の思い出思い出や後悔はどう人生に影響するか?記憶と感情が自己をどう形作るかエピソード記憶と情動結合感情と記憶の統合時間割引と後悔回避社会的記憶と個人史
8. 凱旋栄光や勝利は人をどう変えるか?成功体験の意味とその後の姿勢報酬系と自己強化優越感と自己評価の調整成功バイアス社会的承認とステータスの構造
9. 水仙の芽とガンダーラの仏像美や自然の中に何を見るか?芸術・自然・信仰との向き合い方視覚情報の統合と感情のつながりトランスパーソナル心理学選好形成と感動体験宗教・文化と精神性
10. 春の朝日常の中に生きる意味はあるか?生命の連続性と小さな幸せオキシトシンと幸福ホルモン安定愛着と幸福感日常バイアスの再評価季節・文化と生活様式

映画とは違う「原作」の力

ちなみに最近では、スタジオジブリが同名の映画を公開しましたが、内容はまったく異なります
私が紹介しているのは、1937年に出版された吉野源三郎さんの名作

読書習慣がなくても、何かを感じてくれたら嬉しい!

君は、どう生きたい?

この問いは、年齢を問わず、職業を問わず、誰もが何度でも自分に投げかけるべき問い
私も自分自身に問い直して考え直して、今この文章を書いている

AIの時代だからこそ、目的意識と情熱を持ち
それを支えるツールとしてAIを使える人が、これからの時代を切り拓いていくのだと思う

だから私は、今日も誰かに、そして自分自身にも、こう問いかけたいと思っています。

君(私)は、どう生きたい?